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第7回 長野県北佐久郡立科町周辺

音を聴くには下の写真をクリックしてマイクアイコンをクリックしてください
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写真上のマイクアイコンの位置で録音しました

録音情報
2007年12月26日(水) 12時20分〜(10分間)

GPS情報
(WGS 84)

 

雑  記

 今回はスキー場である。
 スキー場を録音場所に選んだのはいいが、どこで、どうやって録ろうかと頭を悩ませた。まず混んでいない、比較的空いているスキー場の選定が必須である。直滑降でマイクを持っていかれるくらいで済めばいいが、衝突すると身の危険がある。
 また天気も重要だ。雨になれば最悪の場合中止、雪になればマイクに次第に積もり小さな音が拾えない。わざわざスキー場まで来て中止になるなど、考えたくもない。
 思案の結果、 長野県中東部の立科町にあるスキー場に白羽の矢を滑らせた。ここはボーダー禁止のファミリーゲレンデで晴天率80%がうたい文句だ。しかも雪不足でメインコースしかオープンしていない。ここに平日を選んで行けば空いているだろうと考え、クリスマス明けの閑散期を狙って一路、長野へ。

 現地は快晴。雲ひとつなし。
ゲレンデ以外は雪がまばらだが、メインコースは人工降雪機のおかげであろうか真っ白だ。

「おー、空いている!」

まばらなスキーヤーを見て歓喜した。これなら楽に録音できそうだ。自分の計画が的を射たことに満足していた……スキーヤーが少ないということは録音素材がないに等しいということに筆者はこの時点では気づいていない……

 さっそく録音・撮影機材を背負い、さも現地調査人という風情を漂わせながらコースの中腹まで上る。雪が圧雪にちかく、スケート場のようなスロープを3歩進んで2歩下がるようにしてやっと到着。いつかテレビで見たバツゲームのようだ。

 さて、写真を見ていただきたい。左からリフト、メインコース、その向こうにゴンドラリフトが動いている。コース上方に頭を除かせているのが蓼科山(たてしなやま、2,530m)。写真中央付近が入り口・駐車場で外側には多くのレストランなどがあり、夏場は蓼科牧場に訪れる人々の休憩場所となる。その彼方に連なるのが車山高原。中央右に見えるのがスキー場定番のブーツのまま飲食できるレストラン。
 今回は出来るだけスキー場らしい音を多く拾いたいと考え、リフト横にマイクを設置。メインコースに指向、120度としてみた。

 音を素材分析すると、リフト音〔全域〕、会場音楽〔中央〜右〕、スキーの滑降音〔中央〜左〕、ヒト〔右〜左〕、からすクン〔全域〕というところだろうか。
 このリフト音はスキーによく行く人は思わず微笑んでしまうほどなじみの音だ。この滑車がワイヤーロープをぎりぎり牽引している音などは、「貴方を今週末のスキーにいざなうわよ……」的な魔力を持つ。
 スキーヤーが少ないせいで滑降音がまことに薄い。断続的に拾ってはいるが、毎度一人ずつの音のためリフト音に負けている。閑散期を狙いすぎた……。

 「スキー場の音」といえば何を想像するであろうか。もっともスキー場らしい音と言えば「スキーの滑降音」だと思うであろう。しかしそうではない。録音を聞いてもらえばわかると思うが、スキー場の雰囲気を一番かもし出している音は、「J−POP」である! この四六時中スピーカーから流しっぱなしの大音量の音楽こそがスキー場の代表音なのだろう。

 巷に音楽が氾濫し放題の現代では、静けさの中に身をおくことがなかなか難しい。音楽関係の仕事をしている人、特に制作サイドの人の多くはプライベートではほとんど音楽を聴かない。ましてや移動中のイヤホンなど考えられない。
 スキー場の中には音楽をまったく流さないところも存在する。耳を休めたい人や、自然の音を聞きながらスキーをしたいと思う人は迷わずここに行くことになるのだろう。
 スキー場の音楽の是非を問うつもりはさらさらないが、今後はもっと選択肢が増えていくのではないか。

 そう考えると、頭の上であくびをしている常連カラスくんたちが、自然の音を主張する全権大使のように見えてくるから不思議だ。J−POPの大音量に負けじと「カァー!カァー!」と抗議活動をしているのではないか……と感心してしまう。毎回邪魔者扱いしてるのに……。
 それはまるで盤上、白だらけの碁盤の上に一子の黒が報いている状況に似ており、

「カラスくん、がんばれ……」

と小声でつぶやいて、赤みを帯びてきた車山を拝し、スキー場を後にした。

2008年3月2日 熊谷昌朗

※MacOSX環境の方はこちらを参考にしてください。