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第5回 東京都千代田区千代田周辺

音を聴くには下の写真をクリックしてマイクアイコンをクリックしてください
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写真上のマイクアイコンの位置で録音しました

録音情報
2007年10月30日(火) 12時49分〜(10分間)

GPS情報
(WGS 84)

 

雑  記

 ふと皇居に行きたくなった。この日はやや曇天で気持ちのいい秋風が吹いていた。
北側の平川門にて入園票を受け取り、皇居東御苑の芝生の中央に陣取り、缶コーヒーを片手に四方を眺める。
入園者の大半は外国人であり、みんな手に手にカメラを持ちシャッターを切っていた。昼時ということもあり、弁当を広げる家族連れ、会社員がちらほら。

それにしても……

「なんて静かなんだろう……」

と思わざるを得ない。ここは日本の官公庁の心臓部であり、周りには首都高速道路都心環状線が張り巡らされ、北には竹橋ジャンクションがある。にもかかわらず、カラスの声と子供の声しか聞こえない。クラクションや飛行機の音が遠くに聞こえるのもごく僅かである。
言い過ぎを承知で言うならばここは「別世界」である。
これには何か秘密があるのだろうか。四方を囲む松の木や堀の水なども無関係ではあるまい。 自然物を利用した遮音・消音効果が生み出した世界はまことに心地よい。
この静けさをご紹介すべく、この位置で録音を開始した。マイクの方向はこの位置より北北東、竹橋ジャンクション方面。

 さてここは皇居ではあるが、別の言い方をすれば江戸城跡である。 よって園内には歴史的な遺物が数多く見られる。ちなみにこの場所、芝生の一帯は江戸城の本丸跡地である。一昔前まではこの場所で缶コーヒーを飲むなど考えられない場所である。たぶん斬られる。

 写真の一番左端の松の木の向こうに小さく見えるベンチのあたりが忠臣蔵でおなじみの「松の廊下」跡地である。右に目を移すと人が腰掛けているベンチが数脚見えるが、この向こう側あたりが「大奥」の建物跡。
写真中央が「天主台跡」。30度程右を向いたビル方面が「平川門」、微笑ましい母子の向こう側方面が「大手門」にあたる。

 音源については今回も半ば諦めていたのだが、自宅に帰りヘッドフォンでよく聴いてみると、なかなか面白いものであった。
今回は出来るだけ広範囲の音を拾おうと、マイクの集音角度を120度に設定していたため、前後左右に音が飛び交う、パノラマ的音源となっていた。
常連のカラスくんたち(後方)、スズメちゃんたち(右前方)、クラクション(右前方)、飛行機(左後方→左前方)、救急車(左前方→前方)、ヘリコプター(右→右後方)、赤ちゃんの声(右)、などなど。

 前述のとおり歴史的価値が満載の東御苑なのだが、さほどレキシレキシしていない雰囲気があり、写真を見てもわかるとおり、ほのぼの満点である。ここにしばらく佇んでいても往時を偲ぶ気持ちは微塵も起きない。
ところが皇居を外周から眺めると表情が一変する。ここは世界一の軍事要塞だったことがよくわかる。日本各地の城や城跡と比較してみるとわかるのだが、ここには攻め込もうとする気を失わせる、何か得体の知れない雰囲気がある。敵軍の総大将になったつもりでいくら眺めても、まるっきり落とせそうにない。というか逃げ帰りたい。

 帰り道、お堀沿いで石垣を眺めてひとり戦意喪失していると、後ろから次々とランナーに追い越された。背中のロゴを見るとここの近所の女子高校生である。みな一様に辛そうだ。
ここがランニングのメッカであるのは有名であるが、彼らを惹きつける何かがここにあるのだろう。
信号待ちが一切ないという理由も大きいのであろうが、何かを中心に感じながら外周を周っているのだと思う。得体の知れない何か……をである。

 ちょっと走ってみた。機材が重く思うように走れない。またまた女子高校生に追い越されまくる。

……1分で断念した。

……戦意喪失である……。

2007年10月31日 熊谷昌朗

※MacOSX環境の方はこちらを参考にしてください。